December 28, 2006

日本に投信の夜明けは来るか

水瀬さんのブログを中心として、いくつかのブログを回っていて、日本の投信の今後について少し考えてみた。
ここでは、日本で買える公募型ファンド(投資信託)のことを「投信」と呼ぶことにする。
海外で売っている公募型ファンドや私募ファンドなどを含めて一般化したものは区別して「ファンド」とする。


特に、インデックス投資家からみて、投信の高コスト体質はなんとかならないだろうか、というのが現状での一番の懸案事項になっているように思う。
まあ、海外のファンドも似たようなものなので、あまり誉められたものではないけど。

ちなみに、自分は個別株、オプション、ETF、株式アクティブファンド、マネーファンドなど、市場での直接売買とファンドとを組み合わせるスタンスである。つまり、使えそうなところは適宜ファンドを利用するという考え。


で、思うに、金融機関は「サービス業」であることを、ちゃんと理解している人は業界内にどれぐらいいるのだろう。
投信という商品は、まだ旧時代のしくみから抜け出していないように思える。
外部の人間が勝手に想像してみると、運営にかかるコストを積み上げていって原価を算出し、これにある程度の利益を乗っけてみて、横並びで周りを見回して、妥当と思われる額の手数料を設定しているようなイメージがある。
これって、昔の通信業界でNTTが設定していた通信料金と似ている。コスト積み上げ方式だ。

通信業界はその後どうなったかというと、いろいろと規制がありながらも、参入してきた他社が価格破壊を起こし、各社が競争して料金を下げ、シェア増加を目指しつつ、その中で利益を得るための工夫をいろいろとしてきたことによって、品質を保ちながらもユーザが低料金を享受できるようになってきた。
まあ、技術の進歩は無視できないけどね。


証券会社の売買手数料は価格破壊が起こったけど、投信の信託報酬は昔とあまり変わっていない。
販売側の論理が前面に出ている。
毎月分配型ファンドなどは、多くの人に喜んで受け入れられているので、顧客ニーズにマッチしたすばらしい商品なのかもしれないけど。(あくまで皮肉です)


ふと思ったのだけど、投信というのは、顧客からの信頼を得て資産を託されるものなわけだから、もっとサービスという面で差別化して支持を集め、利益を得る方向には行けないものだろうか。
サービス業とは、顧客に付加価値を提供してナンボの世界だと思う。

個人的には、一番の課題は「ユーザインタフェースに不満がある」ということだと思う。

 
つまり、ユーザが望んでいるサービスが受けられていなくて、パフォーマンスやサービスに見合わない高いコストが支払われているということ。
サービス業は、顧客が望んでいるサービスを提供して、それに見合う料金をもらうことで成り立っている。
そこには、これだけコストがかかるから料金として徴収する、顧客は支払うべき、という考えは前面には出てこない。あくまで、事業として採算がとれて成り立つかという判断のときに考慮されるもの。
現在提供されているサービスだけで金融機関の高い報酬(手数料→給料)を顧客に納得させられるものは少ないと思う。


で、投信にどういうサービスがあったらいいかをちょっと考えてみた。

自分が今も投資を続けているさわかみファンドでは、澤上氏がさわかみファンド以外のファンドを作らないのか?という質問を受けたときに、日本円ベースの長期資産運用にはさわかみファンドだけで十分、以前やっていた個人の投資顧問契約も今は止めていて、さわかみファンドを買ってもらっている、というような回答をしていたように記憶している。少なくともさわかみ投信ではそういう考えで運用を進めていると思われる。
でも、現状ではさわかみファンドが全ての人にマッチするわけではなく、これ1本で十分と思える人は少ないかもしれない。自分もそうだ。


このような、これ1本で十分というファンドが作れるようなユーザインタフェースがあったらいいなと思う。
イメージとしては、パソコンのBTOに近いものかな。

パーツとして低コストのファンドをいくつか用意する。このパーツから顧客個人に合ったファンドポートフォリオを作るためのユーザインタフェースを提供する。そして、トータルで提供したサービスに見合う手数料を徴収する。
ユーザインタフェースは、いろんな客層に対応できるようにバリエーションを持たせる。つまり顧客からみたオプションを提供する。
初期のファンドポートフォリオ作成時は、ネット上でツールを提供するだけとか、窓口でFPが顧客と相談しながらツールを利用して作成するとか。もちろん、おすすめセットをいくつか用意してもよいし、おすすめセットをベースにマイナーチェンジできるようにしてもよい。
メンテナンス時は、法令等で必要最低限の情報のみを提供するとか、月々の運用状況を細かく提供するとか、マーケット情報などやポートフォリオ診断などを提供するとか。
また、ファンドポートフォリオを作成した後は、そのまま放置するとか、所定期間で自動的にリバランスするとか。あと、入出金やポートフォリオへの出し入れのインタフェースも複数のパターン、手段を用意しておく。

これなら、全部自分自身でやれば安くコストを抑えられるし、至れり尽せりのサービスを望む人はそれなりのコストを支払えば享受できる。
FPの資格をちゃんと活用するためにもこのようなサービスはあった方がいいと思う。

ファンドのサービス提供部門と運用部門は別でも構わない。パーツとしては最低限の報酬だけど、ポートフォリオに組み込まれた資産総額や評価などによって、多くの支持が得られるファンドの運用部門には手数料をバックすればいい。
もしかしたら、あまり資金力がないファンドマネージャーがここからデビューしてブレークするかもしれない。
資本主義の原則に則って、顧客の満足が得られて支持されたサービスは生き残るし、ダメなものは淘汰される。
素人が簡単に考えたものだけど、実現不可能ではないと思う。要は発想の転換ができるかどうか。


こうやって考えると、変額年金とか海外生保のPPBに似ているようにも思えるが、その中身や目指しているものは全く異なる。
一番の目的は、「顧客ニーズに合ったユーザインタフェースの提供」だから。
変額年金や証券会社の一任勘定などよりも低コストで、しかも顧客ニーズに合ったものが実現できそうな気がする。
今の投信にもファンドオブファンズは多いのだから、顧客から見た発想にちょっと変えて一から設計すれば、良いものができるかもしれない。
投信スーパーセンターなどで多くの投信を集めて売るだけよりも、ユーザインタフェースについてもっと考えた方がいいと思う。

これだったら、ファンドマニアにも投資初心者にも受け入れられてパフォーマンスも納得がいくものができそうだし、わかってない人から不必要にボッタクったり過度なリスクを負わせるような問題も無くなる。


なんて戯言を長々と書いてみたものの、投信の夜明けがいつになるのかはわからない。
個人的には、あまり周りには期待していなくて、自分の考えや好みに沿ってマイペースでボチボチやるだけなんだけど。
 

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comments

rennyです。
非常に興味深いご意見、アイデアだと思います。
GabbianoさんのBTO的なアイデアは生命保険なんかでは徐々に出てきていますよね。
投信でも出てくると面白いですよね。サポートが必要な人はFPとかIFAとかに相談できれば良いわけですしね。

いつごろ実現するでしょうか、このアイデア。

  • renny
  • December 28, 2006 20:10

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rennyさん、コメントありがとうございます。

まだパッと思いついただけのアイデアですけど、なんかこういう方向で進むとみんなが幸せになれるかなあと思っています。
こういうものは、資金や業界へのコネがあれば独立してやる人がいてもいいのかなあと思いますね。
業界での固定概念にしばられず、かといって大きな資金力とパイプが必要かもしれないので、難しそうですが。。

生保って現在は全くノーマークなのですけど、低コストでお好みの保険が作れるのでしょうか?

  • Gabbiano
  • December 29, 2006 16:47

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Gabbianoさん、こんにちは。
http://diy.co.jp/index.html
なんかがBTO型だと思います。
ただし、低コストかどうかは正直よく分かりません。。。

  • renny
  • December 29, 2006 21:16

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rennyさん、情報ありがとうございます。
そうですね、一つのサンプルとして方向は似ているかもしれません。

保険で考えるとしたら、このような死亡保障に、損害賠償とかも一緒に組み合わせてポートフォリオを作成し、さらに出入口を一本化するようにして、これらを自分好みにアレンジできて、なおかつ無駄な手数料を省くようにしたい、というような感じでしょうか。

  • Gabbiano
  • December 30, 2006 00:55

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海外の豊富なバリエーションがあるETFを組み合わせて運用する方法がこのご意見に近いと感じます。
私も実際やっていますが、マイポートフォリオを自分好みに仕立て上げられますし、フィナンシャルアドバイザーがその組み合わせを提案する事も可能です。
まぁ日本国内では数年(数十年?)は無理だと思いますが・・・

  • わたなべ
  • December 30, 2006 08:02

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わたなべさん、コメントありがとうございます。

そうですね、コスト面ではETFの組み合わせがベストでしょうね。
意外と、みんな現状の投信の不便を当たり前に(あるいは仕方なく)受け入れているのではないかと思ったので、ニーズが高まっていけば実現の可能性もあるかもしれません。

  • Gabbiano
  • December 30, 2006 10:11

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