June 7, 2007
投資の科学
少し前に読んだ本「投資の科学」についてのエントリ。
著者のマイケル・J・モーブッシンは、レッグメイソン・キャピタルマネジメントのチーフ・インベスト・ストラテジストで、コロンビア・ビジネススクールの非常勤教授。どちらかというと実践派である。
これは自分にとって当たりの本。
マーケットの性質をうまくとらえていると思う。
1つのポイントは、ほとんどの自然現象は、株式市場などの人間が絡むものも含めて、正規分布に従わない。べき乗法則に従うフラクタルなシステムである。ということを、明確にして書いていること。
一般的なファイナンス理論で使われる、正規分布を前提としたものは、自分も少し違和感があったが、この本を読んで頭がスッキリとしてきた。
自然界での分布や株式会社の分布などは同じで、大多数の小さいものから、極少数の巨大なものまである。これが、フラクタル、べき乗法則である。グラフの縦軸を対数にすると、分布は右下がりの直線になる。
これは株式市場も同じであり、わずかな変動が大多数であるけど、ごくたまに大きな変動が起こる。企業の業績分布なども同じであるとのこと。
異常値は確実に存在し、ときには無視できない。
この考えは正しいと思う。
現状のファイナンス理論は、実践的な理論といえるまで完成していない。
実態と異なる仮想的なモデルを前提に組み立てられているので、ときに実際の現象とは乖離が生じ、うまく当てはまらない点が結構ある。学問のための理論から脱することができていない。前提のモデルに怪しさが隠れているから、説明できない現象も多い。
この本では、効率的市場仮説のように、すべてのプレーヤーが合理的な行動をとるという前提とは、異なる考えを示している。
アリやミツバチの行動などを例に出して、集団の行動は正しいと結論づけている。人間で実験しても同様な結果が出ているようだ。
個々の判断は間違っていても(多くの場合はそうだ)、多様な個が集まってできた集団全体としての結果はほぼ正しいものになる。これが集団の能力であり、マーケットも同じようなものらしい。
だから、効率的市場仮説を否定しつつも、論理的にパッシブ運用の利点を暗に示しているように思える。
とはいえ、持っている技術が高ければ、確率的にはほとんどあり得ないような連勝も起こることも述べている。これは先のべき乗法則と同じである。
このように、今までなんとなくモヤッとしていたものが、うまく説明できている点が多い本である。
あと、印象に残ったポイントは、最初の方に書かれてあった、期待値の大きさとその頻度が重要であるという点。
この本では、確率論的な考えが根底にある。将来の不確実なことを考えるには、やはりこれがベストだろう。これは投資にもギャンブルにも共通することで、たしかにそう思う。
などなど、的を射ているところが満載で、自分にとって投資戦略を考える上で、ベースとなるもの、見るべき方向性を示してくれている。
2200円とちょっと高めだけど、読む価値は十分あり。
- by Gabbiano
- at June 07, 2007 07:09
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comments
TBさせていただきました。
> 個々の判断は間違っていても(多くの場合はそうだ)、多様な個が集まってできた集団全体としての結果はほぼ正しいものになる。これが集団の能力であり、マーケットも同じようなものらしい。
同じような内容が『「みんなの意見」は案外正しい』 という本にも書かれていました。個々の投資家が合理的な判断を下すが故に市場は正しいと考えるより、非合理的な判断を集約した市場が結果的に正しいものとなるというほうが受け入れやすい結論のように思えます。
上記の考え方に基づけば、市場は微妙な均衡で成り立っており、時にバブルや大暴落が起こるということも納得できます。とは言え、私はそんな市場で「確率的にはほとんどあり得ないような連勝」を狙う勇気はありませんが・・・。
この本、購入したまま書棚で埃を被ってますので、『 市場の期待を株価で読み解く エクスペクテーション投資入門』と合わせて、是非読んでみたいと思います。
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Itoさん、コメント&トラックバックありがとうございます。
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同じような内容を他の人も主張しているのですね。
私も真実に近いと思っています。
投資の科学は、興味がわきそうなところだけを拾い読みしても良いと思います。
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面白いですね。
僕も読んでみたくなりました(^^)
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水瀬さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
パッシブ派、アクティブ派どちらの人にも読んでみると面白いところがあると思います。
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