June 3, 2008

数字脳

今週は新幹線に乗る機会があって、空いた時間でちょっと週刊ダイヤモンドを読んでみた。
特集は、「数字脳」を鍛える! ということで、自分のようないちおう理系のはずなのに数字はイメージでとらえてしまう人間にとっては、耳の痛い話ばかりではないかな、と思って興味を持ったので買ってみた。


内容的には、生活編での身近な事象での数字の錯覚や勘違いについてとか、数字に強くなるための計算方法とか、ビジネス経済編でのGDPなどの変化率の罠とか、投資編での金利やコストの罠とか、そこそこ楽しめる内容だった。

投資編の記事は、リスクの解説などでちょっと賛同しかねるところもあったけど、初級編であるので目をつぶって許せる程度ではある。


中でも、変化率の勘違いに関する記事は、今まで自分が感覚的に思っていたことをうまく実証例を出して解説されていたので、頭の隅でちょっと引っかかっていたものがすっきりした気がした。

例に挙げられているものは、ソニーの株価の変化率について、1998年下期(9月末)から2008年上期(3月末)まで半期ごとの変化率を棒グラフにしたもの。
各期間ごとに変化率がプラスなら上に延び、マイナスなら下に延びた棒グラフになる。
グラフを一見すると、この10年間でトントンか少し上がったように思える。変化率の数値的に見ても、半期ごとの変化率を単純合計すると+59%で、単純に算術平均すると+3%になるようだ。

しかし、実際にはこの期間の株価は約30%下落している。


モーニングスターなどにあるリターンのデータでも期間収益率グラフがあるけど、あれは実際の数字よりもリターンが良く見えてしまうので、ちょっと割り引いてみる必要がある。
 

 
これについては、変化率というものの性質によるものだと思う。
変化率って直前の値を基準にした変化量だから、毎回ベースとなる値が変わってくる。
仮に、同じ変化率で上昇、下落を繰り返すと、だんだん目減りしていってしまうのだ。
例えば、初期値を100として、+10%、-10%を繰り返すと、100, 110, 99, 108.9, 98.01, 107.81, 97.03,...と徐々に値が小さくなってくる。


さらに例が挙げられているけど、40%上昇してから30%下落した場合は、上昇幅の方が大きいのにトータルで-2%になる。
つまり、一旦上がってベースの値が大きくなった場合、その後は小さい変化率でも変化の絶対量は大きいのだ。
逆に一旦下がるとベースの値が小さくなるので、その後同じ変化率で上昇しても元には戻らない。プラスになるには下落時の変動率よりも大きな変動率で上昇する必要がある。
これは、パフォーマンスのグラフを表示するときに縦軸を対数にした方が実際の感覚に合っているというのと同じ。


このように、変化率を扱うときはちょっと注意が必要。
前年同期比とかを数字で比べる場合、数字だけではなくてその背景を少し考えてみた方がいいかも。
 

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